「認知症や病気になったら、財産はどうなるのか」
判断能力のある元気なうちに、財産に関する要望を契約という形で残す「民事信託」と呼ばれる制度にここ数年、関心が高まっています。
生前から財産の運用や管理を、家族や親族に託せるのが特徴です。
相続での遺言代わりにもなり、親族間でもめる「争族」対策にもなると期待されています。
民事信託は、信頼できる人に財産管理などを託す契約を指します。
このうち家族や親族と交わす契約は「家族信託」とも呼ばれます。
民事信託の仕組みは
財産を預ける人(委託者)、財産を預かって管理・処分する人(受託者)、財産から生じる利益を受ける人(受益者)からなります。
ただ、個々の実情を反映した契約書の作成には、制度に精通した司法書士や弁護士などの専門家に依頼することが必要で、報酬は信託財産の1%程度とするケースが多いようです。
財産の価値にもよりますが、専門家に頼んでも申し立て費用が10万円程度で済む成年後見制度に比べると、コストがかかるのが難点なようです。
民事信託のポイント
・万一の時の財産管理に備え、オーダーメードの契約が作成できる
・財産の名義を受託者に変更しても、委託者と受益者が同じなら贈与税はかからない
・成年後見制度と違い、資産運用や相続対策などもできる
・本人の死亡後に効果が生じる遺言と違い、原則契約を結んだ時から効果が生じる
・費用が成年後見制度と比べ多額
・制度に精通した専門家に相談することが大切
家族での話し合いのきっかけ作りとして参考にしてくださいね。
「生前に 財産管理を 考える」