メディカルファミリーセラピーという家族療法を聞いた事はあるでしょうか?
病人や障がい者がいる家族を対象にしています。
この治療で重要視されるのが、夫婦における介護経験の違いです。新聞に載っていた介護を巡る不安を抱えている夫婦を例にしてご紹介します。
夫は三世代家族で育ち、認知症になった祖父のケアを祖母が行うのを幼い頃から見てきました。
一方妻は、核家族で育ち、介護についての体験がありません。
実母が認知症と診断された時、妻は介護の負担や不安、生活に及ぶ制限などマイナスの側面ばかりが思い浮かび、うつ状態のようになってしまいました。
夫の心の中に存在する認知症ケアの記憶は、否定的な思い出ばかりではありません。
祖父母と出かけたこと、花や木の名前を教えてもらったことなど、関わってくれた思い出が、健全な長期記憶としてあったのです。
心の中には、今はもういない祖父母や親との関係が思い出として生きています。
心に残る家族の在り方はそれぞれ異なり「認知症」や「介護」というイメージは、夫婦で全く異なることがあります。
家系図を絵に描いていくことで、お互いの家族でのケア経験の違いに気づけるようですよ。