私たちの心の機能に「刺激防壁」があります。
音・光・温度・言葉・態度といった刺激に対して、それを上手に選択して取り入れたり、冷静に考えて対処したりするための機能です。
刺激防壁は、疲れると誰もが低下するといわれています。疲れていると他人の言葉に反応しやすくなる、といった体験が皆さんにもあるかもしれません。
認知症ケアでは、毎日続く疲労感のため、言葉や態度、行動に反応しやすくなります。
認知症者の短期記憶障害に対して、理解はしているのですが、つい「何度いったらわかるの」と感情的に反応したり、「私の財布を盗んだでしょ」という物取られ妄想に、「こんなに介護しているのに泥棒扱いされた」と怒りが生じたりします。
怒りには少し時間をおくことが必要です。
アンガーマネジメント(怒りの制御)に「6秒ルール」というものがあります。
6秒を過ぎると怒りが収まっていくので、深呼吸をしてみたり、介護ベットから離れてみたりすると、気持ちが落ち着く可能性があります。
ケアに疲れているところに罵声を浴びせられ、「死にたい」と感じる介護者もいます。
少し時間を置くことで、反応から生じている感情は収まっていき、冷静さを取り戻して「対応」できるようになります。
介護者に「自分の時間をつくりましょう」と言うのは、否定的感情を収め、刺激防壁の回復につなげるためなのです。
「時間置き 怒りの制御を してみては」
アイゼン、心の俳句・・・。