「ポジティブ心理学」の介護への応用として、「没頭」について考えます。
介護者の方の中には、過去のことばかり考えて落ち込んだり、将来の不安が襲ってきたりして眠れなくなる、といった人がいるようです。
介護が一段落した人がこうした状態に陥ることが多いかもしれません。
献身的に親や配偶者の介護に没頭する人にとって、考えるのは今日のことばかりでしょう。
毎日の介護の役割をこなすことで精いっぱいなのです。
ところが、要介護者が施設に入所したり他界したりすると、心のバランスが乱れてしまいます。
「忙しさへの逃避」「不安は未来からやってくる」「後悔は過去からやってくる」という表現をする方もいます。
やるべきことが目の前にあり、没頭できる方が悩まないのです。
没頭していた対象を失った時に注意が必要です。
認知症介護が施設入所や他界などで終わる時に備えて、介護者が「次に没頭できること」を家族で話し合うことも大切です。
介護が終わることは介護者にとっては喪失体験です。
でもそれは、介護者から離れ、かつての自分や本来の自分に戻るチャンスでもあるのです。
この話は続きます・・・。